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シックハウス症候群の原因イソシアネート健康被害
更新日2023.10.29. 健康 コラム
【シックハウス症候群】身近に広がるイソシアネート汚染とは
家づくりの中で重要視したい『住み心地』。特に、健康面の影響を気にする方は多いと思います。
住宅建築で使われる人工の建材には化学物質が使われており、人体の健康に悪い影響を与える場合があります。
その中でも今回は、ウレタンフォームに使われるイソシアネートについて調べました。
目次
1.シックハウス症候群
2.イソシアネート健康被害の症状
3.REACH規則でも使用を制限
4.ウレタンフォームを製造する会社によると・・・
5.まとめ
1.シックハウス症候群
近頃はほとんど聞かなくなりましたが、シックハウス症候群の原因となる、「アスベスト」や「ホルムアルデヒド」などは有名な有害物質ですよね。ニュースで取り上げられているのを目にしたことがある方もいらっしゃるかと思います。
これらのように、過去大きな被害を出した物質は使用が厳しく制限されるようになりました。
(参照:国土交通省サイトリンク1)
(参照:国土交通省サイトリンク2)
しかし、そこまで厳しく法律で取り締まられていない化学物質はいまだ存在しており、タイトルにもある「イソシアネート」はその一つです。
イソシアネートとは、住宅建築においてはウレタンフォームという断熱材に使われている化学物質。このイソシアネートにポリオール液を混ぜ合わせると、モコモコと膨らんで固まり(泡化・樹脂化)、ウレタンフォームへと変化します。
▼ウレタンフォーム断熱材
2.イソシアネート健康被害の症状
建築現場においては、主にウレタンフォーム断熱材に用いられていますが、イソシアネートは私たちの生活のもっと身近なところでも使われています。
家具類で挙げると、絨毯の裏ゴム・スポンジやクッションの発泡剤・集成木材接着剤など。自動車だと、タイヤ・バンパー・内装材など。衣料品だと、保温繊維・繊維加工剤などがあります。
また、健康被害の症状は以下になります。
●皮膚・粘膜:接触皮膚炎(刺激、アレルギー)、発赤、かゆみ、蕁麻疹、四肢浮腫み、血管神経性浮腫など。
●目:流涙、眼痛、視力低下、アレルギー性結膜炎、角膜の障害など。
●呼吸器:過敏性肺臓炎、咳、刺激と炎症気道感作による喘息、息切れ、胸痛など。
●その他:頭痛、めまい、悪心、嘔吐、食欲不振、肩こり、慢性倦怠感など。
●発がん性:人に対して発がん性があると見なすべき物質(2Bクラス)
(参照:臨床環境医学会イソシアネート)
3.REACH規則でも使用を制限
EUではREACH規則という、化学品の登録・評価・認可および制限に関する法律が定められており、イソシアネートはこのREACH規則でも制限されている化学物質です。ただし、全面的に使用禁止というわけではなく、製造や使用には濃度のパーセンテージが定められており、また専門知識を持った者のみが扱うことができるといった内容の制限になっています。
(参照:officeks.net)
(参照:松尾産業株式会社)
4.ウレタンフォームを製造する会社によると・・・
硬質ウレタンフォームの1種である、アクアフォーム®を製造している株式会社日本アクアによると、素原料のイソシアネートと形成されたウレタンフォームとは別物であり、経年劣化などでイソシアネートが再発生する心配もないと説明しています。また、EUで厳しく取り締まられているイソシアネートですが、日本では製品安全データシート(SDS)を用いて教育を行っており、施工する職人の健康も保たれているとのことです。
さらに、実際の施工現場では第三者機関によるイソシアネート濃度測定を実施し、①施工時②施工後換気1時間後③翌日 と、3度に渡る測定の結果イソシアネートは検出されなかったことが証明されています。
(引用参照動画:イソシアネートって安全なの?)
5.まとめ
イソシアネートの有害性は世界でも認められており、実際に日本や海外でもそれぞれの規定を定め、使用を取り締まっていることには間違いありません。そうした法規制の中でメーカーは製造や施工を行っており、ウレタンフォーム断熱材を用いたハウスメーカーも多く存在しているのが現状です。国内のシェア率でいうと、2017年の調査ではおよそ11%。私たちコスモホームの扱うセルローズファイバーと比較すると何倍も多くシェアされています。これだけの差が生まれているのには、施工業者が少ないことや費用面の要因も含まれるのですが、ウレタンフォームの安全性もそれだけ認められている為だと考えられます。
(グラフ引用参照:ecologylabel)
今回はウレタンフォームの安全性についてまとめました。しかし、もし火災が起きた場合など、条件が変わると有毒ガスが発生する場合もあるのは事実で、ウレタンフォームだけでなくそれぞれの断熱材にメリット・デメリットがあります。
そして、建築を依頼するハウスメーカーの決定には、建材の安全面だけでなく、予算面やデザイン性などあらゆる検討材料がつきものです。モデルハウス見学や、他社と比較・調査する期間を長く見積もっておくと、急ぎ足にならずにご自身の希望条件にマッチしたハウスメーカーを見つけられるかもしれません。
筆者:(株)コスモホーム マーケティング部 中川